〈備忘録〉たけのこご飯
AM10:00
豪雨により午前中の予定が中止になり、日ごろの疲れを癒すためにマッサージを予約したものの「マッサージ屋さんに出向く体力がない」というひ弱さから、予約後すぐにキャンセル。
PM 14:00
「英気を養うために自炊をしよう!」
という向上心に満ちあふれた名案を思いつく。メニューは季節感を取り入れた「たけのこごはん」に決定。
メニュー決めの時点で、はやくも達成感すごい。
PM 14:30
スーパーに行く。
よく考えたらマッサージ屋さんよりスーパーのが遠いのがつらい。
クックパッドの言う通り、「三つ葉」や「白ゴマ」にいたるまで漏れなく購入。
※料理は「忠実さ」がすべて。最近学んだこと。
PM 15:00
滞りなく調理。
「炊き込みごはんなんて簡単だよ〜。材料切って炊飯器入れるだけだから〜。」とかなんとか言っている自分を想像しながらひたすらたけのこなどを切る。
PM 16:00
炊飯器に具材を投入。
たけのこごはんが楽しみすぎて炊き上がるまでの50分間、生まれたての我が子の様子を見に行く新米パパのように部屋とキッチンを右往左往。
今思えばこの時間、完璧に無駄。
PM 16:50
炊き上がり。
意気揚々と炊飯器をあけたらギネス級のビックベイビーがご誕生…。
(なんで?炊飯器にセットしたときは適量だと思ったのに。)
PM 17:00
実食。
ワインソムリエ風にたとえるなら、「たけのこがたくさん生える山の、雨上がりの土」みたいな味。
端的にいうと、おいしくない。
※※※
久しぶりに無駄すぎる休日を過ごしてしまった。ふつうにおとなしくマッサージいけばよかった…。2倍疲れた。
父親
がなくなって一か月以上たった。
10年以上顔もあわせず、まともに話もしていなかった。
だけど、だいすきだった。
それが本人に伝わっていたのかどうなのかが心配で、もどかしくて、居ても立っても居られない気分になる。
ぱたぱたと告別式や葬儀が終わって、
東京にもどった私の生活はこれまでと何にも変わらない、はずなのになんでこんなに突然何もかもがつまらなく感じるようになってしまったんだろう。
母親を通じて私の仕事や日々の生活の話を聞くのを楽しみにしてくれた父親がいない。
今まで「自分が幸せでいること」とか「自分が周りに認められること」を、当然のごとく「自分のため」だと思ってた。信じて疑わなかったというより、疑う余地もなかった。でも、幸せな自分、認められてる自分でいることで父親が喜んでくれるんだって、無意識に刷り込まれてたんじゃないかな。
つまらない、つまらないなあ。
どうしよう。
竹取り女子
行動力とフィーリングの権化みたいなKっちという女子がいる。
好きな芸能人ができれば国境を越えてまで追いかける)、ボードにはまれば冬中雪山にこもる、恵まれない子のニュースを見たら現地までボランティアに行く、とにかく「やりたい!」と思ったその瞬間には走り出している。
そんなKっちは大学のときから規格外だった。あれは大学2年生、私がもうすぐ20歳の誕生日を迎える初夏のこと。
Kっち
「◯◯ちゃん(私)の好きな食べ物なんだっけ〜?」
夏バテ真っ最中の私
「あぁぁ、ソーメンとか…?(わりと適当)」
後日大学に行くと、満面の笑みで「おーい、おーい」と、手を振るKっちがいた。そして、ぐわぁんぐわぁんしなだれる、物干し竿みたいな竹を抱えていた。(もっと言うと、竹のしなだれをよけながら手を振るKっちは1人EXILEのチューチュートレインみたいになってた。)
と言うわけで私は、20歳の誕生日に本格的な流し素麺をプレゼントしてもらったわけです。素麺を流す水はトイレの手洗い場の水だったけどオールオッケー!
Kっちの行動力(もはや、瞬発力?)は、年を重ねて落ちつくどころか加速度を増している。
アスファルトの上で派手に転んで膝のお皿を割ったのに、ケロッとした顔でそのまま富士山に登頂した件はまた今度!
塩の達人
Tっちゃんのおしゃれオフィスに遊びに行く機会があった。
文房具にまじってデスクに並べられた小瓶をみると、
「エジプトの塩」
「マグマ塩」
「ヒマラヤ岩塩」
その他なんかわからない塩、塩、塩…
オフィスにも置いてるってどういうこと?「肉にはこの塩、サラダにはこの塩、あ、でも今日の気分はこれかな〜♫」みたいな使い分けとかしちゃってんのかしら…
そういえば昔、Tちゃんの家で鍋パーティをしたとき「もう、たかが塩って思ってたけど、やっぱもう全然違うんだよね!全っ然!」と、酔っ払って岩塩について熱く語っていたのを思い出した。
すっごい興味本位で塩について色々聞いてみたかったけど、「オタク」や「マニア」といわれる領域について気軽に踏み込むとやけどするって話も聞いたことがある気がするし、とりあえず塩には触れず世間話を続けることにした。
わたしが近々旅行に行くというたわいも無い世間話をしているときだった。
「ねぇ、お土産になんの塩がほしい?」
(しまった、「お土産なにがほしい?」って言うつもりが完璧に先走ってしまった。)
さいあくの形で塩について言及してしまい、ヒヤッとしていると、Tっちゃんはちょっとびっくりしつつ、
T「あぁ…これ?なんか数年前からみんながやたらと塩をくれるんだよね。お土産とか、手土産とか、誕生日プレゼントとか…。嬉しいけど、塩ってそんなすぐになくなるものでもないでしょ?普通にお土産にはチョコレートとかがほしいよ。」
私「え、だって塩めっちゃすきでしょ!?(動揺)」
T「一時期、料理にはまってたとき岩塩とか使ってたことがあるけど、それだけだよ。なんでこんなに塩キャラになってしまったのか本当にわからない…わからない…」
なんと、塩マニアや塩オタクどころか塩ノイローゼの一歩手前だった。
ここからは推測だけど、酔っ払ったTちゃんが岩塩についてたまたま熱く語ったことで、それを覚えてた友だちたちがお土産に塩をプレゼントする事例が相次ぎ、デスクにどんどん増える塩を見て、他の人にも「塩=Tちゃん」という図式が確立されてしまったんだろうと思う。「あ、めずらしい塩あるー。Tちゃんにあげよう!」みたいな。
こういうまわりが勝手に作り出したイメージに翻弄される人って結構おおいのかもな、とピカピカの塩の瓶を見ながらぼんやり思った。
安心して、お土産にはマカダミアナッツとかを買うからね!
23歳のゾンビ
大学時代の男友だちで異常なほどのゾンビマニアがいる。
どれくらいゾンビが好きかというと、将来の夢はゾンビになることだと本気で言い切っ程たくらいだ。
「漫画が好きだから、漫画家になりたい!」とか「服が好きだからデザイナーになりたい!」みたいなこというと、必ず「読むのが好きなのと、作り手になりたい気持ちを混同するな!」とか「好きを仕事にすると苦労する!」とかって苦言を呈する頭でっかちがでてくるものだけれど、この時ばかりは私も思った。
「好きだからって簡単にゾンビになれると思うなよ…」
そんなゾンビ志望の彼は、だいすきなゾンビ映画を見たときはちびまる子ちゃんの野口さんみたいな「クックックックッ」って笑い方するし、自己紹介の際はもれなく得意のコサックダンスを披露するし(いまだに何故なのか理由がわからない…サービス精神?)、どこで手に入れたのかわからない等身大ガイコツをマネキン代わりに使用してるし、とにかく特異なキャンパスライフを送っていた。
(ただ、誤解のないように付け加えておくと、彼は友だちも多く、優秀で、私が所属するゼミのゼミ長でもあった)
そんなと彼が大学4年生の頃に突然、
「実は…俺には秘密がある。もう卒業も間近だし、そろそろ◯◯(私)には打ち明けようと思う…」と言ってきた。
その深刻そうな顔を見て私は「あぁ、もしかしたら親戚にゾンビの1人や2人いるのかな」くらいは覚悟したよね。
そしたら、
「実は俺、1年浪人してるから今、23歳なんだよね」だって。
だからなにーーー!!??(心の声)
もうゾンビ映画にでてくる金髪女子のさけび声くらいシャウトしたよね。
(心の声だから聞こえないけど)
ゾンビ志望のくせに年齢なんて気にするな!って思ったよ。思うでしょうよ?
で、そんな彼はいま、モノ好きの(多分)奥さんとおしゃれな猫としあわせに暮らしているらしい。
猫の名前は、予想通り。
ゾンビの好物のかつおぶし持って今度新居に遊びにいこーっと。
アルデンテ系、モテ女
「モテる女」とか「天然女子」とかって聞くとえてしてふんわりスカートの似合う癒し系女子を想像する。色であらわすともちろん白かピンクである。異論は認めない。
私の知っている女子のなかで「モテ」と聞いてすぐさま思い浮かぶのは大学時代の同級生のKちゃんだ。
Kちゃんも例に漏れず、ピンクとか白とかのふんわりスカートをよく履いていた。
そんなKちゃんとの思い出でよく覚えているのは、はじめて一緒になった帰り道。わたしが「Kちゃん、どの電車乗るの?」って聞いたら「地下鉄〜」ってふわふわの声でいうから、近鉄ユーザーだった私は「私はこっちだから、じゃあね〜」と手を振った。
…はずなのに、Kちゃんはずっと私の後ろをついてくる。
結局一緒の電車に乗ったKちゃんに「地下鉄乗らなくていいの?」と聞いたら、「うん、地下鉄乗ってるよ〜」と。
「何を言ってるんだろう、この人大丈夫かな」という一抹の不安と、「なに?トキメキトゥナイト!?」というファンタジーの世界に迷い込んだかのような高揚感…
結果、「近鉄(キンテツ)」のことを「近鉄(チカテツ)」と読んでいたらしい。
そんなKちゃんだけど、理不尽なことばかりのこの世の中に世離れしたファンタジーをお届けできればモテるかというとそういうわけではない。
Kちゃんには中学生の頃からの大きな夢があり、その夢を叶えるためにたいそう努力していた。
大学2年くらいのときにはずっと憧れだった企業に「まだ2年だけど今すぐ大学なんて辞めるからここに入社させてください!」と直談判した猛者でもある。
(結果、人事担当者に説得され次の年に再度受けて無事入社した)
日本の男子は意外と賢い。
ふわふわしているだけの女子はモテてるように見えて結局「都合のいい女子」
ポジションなだけだったりすることも多いけれど、Kちゃんのようなアルデンテ系女子(ふわふわしているけど、芯のある女子)はデートに誘うだけで3年かかった男子、なんてのもざらにいる。
(そのせいでKちゃんは自分が男子を翻弄させるほどモテていることに微塵も気づいていない)
さて、そんなKちゃんは現在、憧れの企業でバリバリ働きながら今度お花見の幹事をするらしい。
雨が降ったら室内での飲み会になるらしいんだけど、部屋の中でも花見気分を味わえるように念のため桜の写真をポスターの大きさで印刷していくんだって!
はてさてあの有名企業でいったい何人の男子が一方的に「ロマンティックが止まらない」してるんだろうかー!
みきピュ〜のバレンタイン
前の記事で紹介したみきピュ〜(しつこいようだけどみきピュ〜のピュ〜は、ピュ〜と吹くジャガーのピュ〜)が、高校生のときに一度だけバレンタインに手作りをしたことがある。
高校生のとき恋愛にご縁がなかった私たちも、バレンタインの日には「友だち同士でお菓子を交換する」という女子らしい文化を持ち合わせていた。
私や他の友だちが業者さんよようにてきぱきとお菓子をくばりはじめたとき、みきピュ〜は「実はな、今年はみき手作りしたから放課後まで待っとって〜(三重弁)」ともじもじしながら私たちをじらした。
なんとまぁ、あの調理実習事件の共犯者であるみきピュ〜が手作り!?
わたしはほんの少し、自分だけが取り残されたような気分になった。
そして放課後、
「みきピュ〜の手作りお菓子なに?」
「ちょうだい、ちょうだい」
とみんなが集まった。
みきピュ〜はいそいそとばかでかい袋を取り出した。
「おっきいね」
「何作ったの?クッキー?」
みきピュ〜が袋から取り出したのは、重箱だった。そしてその重箱の中には手作りの紅白餅がかわいらしく並んでいた。
「重箱!?」
「紅白餅って手作りできるの!?」
「なんでバレンタインに餅!?」
みんな口々にみきピュ〜に疑問を投げかけた。
わたしもびっくりしつつ「あぁやっぱりみきピュ〜は、ピュ〜と吹くジャガーのみきピュ〜だなぁ」と、心の中で安堵した。
それにしても、みきピュ〜の手作り紅白餅はふかふかで甘くて、おいしかった。
機会があればいつかもう一度食べてみたい。